高校受験の国語は総合力が問われる!
国語といっても、高校受験では、読解問題の中に、文法、文学史、漢字の読み書き、慣用句やことわざや故事成語などの語句、作文など、多くの種類の問題が含まれている場合が多く、詩や短歌や俳句などの韻文、古文、漢文も独立した問題として出題されることもあります。その点では「もっとも多くのことを学ばなければならない国語」ということもできるでしょう。しかし、公立高校の問題を基本として見てみると、それほど高度な知識を問う問題は出題されていません。基礎的な学力があれば、十分に得点できる出題レベルといえるでしょう。
ここではしばらくは、何をどう勉強すればよいのか、ということについてお話しします。まずは、漢字です。どの高校の問題を見ても、漢字の読み書きは出題されています。マークシートによる選択問題は増えているものの、必ず学習しておかなければならない分野であるといえるでしょう。ただし、一朝一夕にすべてを克服できるはずはありません。やはり、定期試験の度に、その範囲になっている漢字をひとつひとつ丁寧に覚えていくことです。その際に注意すべき点がいくつかあります。
1.その漢字だけを書けるようにするのではなく、熟語として覚えたり、音訓両方の読み方を覚えたりすること。(新出漢字は、教科書では必ず音訓両方の読み方が出ています)
2.新出漢字以外でも、書けそうにない漢字(熟語)があれば、チェックして書けるようにしておくこと。
以上二点が漢字の勉強の際に大切なことです。日常の勉強では、手を抜かずにこの注意点を守ってください。小学校と中学校で勉強する漢字は1000字程度ですが、その組み合わせによる熟語になると、数え切れないくらいの数になってしまうのです。受験の直前になってあわてても、もう遅いのです。

1、近年の公立高校入試における作文問題
〜指定された条件、守って!〜
近年、出題される条件作文の特徴として、
1、グラフ・資料・写真から何が読み取れるかを記述。
2、賛成か反対かを述べ、その理由を記述。
3、文字数・段落構成の指定。
以上のいずれかの付帯条件がついています。付帯された条件をはずさないで作文することを常日頃から訓練することも必要です。
<埼玉県>
次のことについて、あとの注意にしたがって、あなたの考えを書きなさい。
中学校への入学を約一ヶ月後に控えた小学校六年生は、入学を前にして、さまざまな不安や期待をもっています。新しく中学生になる後輩たちが、中学校に入って、充実した学校生活を送るためにはどうしたらよいでしょうか。(十三行以上十五行以内)
<静岡県>
学校の図書館の利用を活発にするために、新しいコーナーを設けることになった。そのコーナーに何を入れるかについて委員会で話し合ったところ、次のような案が出された。あなたならどの案を選ぶか。選んだ案について、あなたの考えを、百字以上、百八十字以内で書きなさい。
1・・・授業に役立つ本や資料。
2・・・文学や歴史などのマンガ本。
3・・・文学作品の朗読テープ。
4・・・SFや推理小説などの本。
<宮城県>
次の資料は「小学生がよくする遊び」についてまとめたものです。これを見て、あなたが気がついたことと、それについてのあなたの考えを百六十〜二百字で書きなさい。ただし、あなたが気がついたことを述べる段落と、考えを述べる段落との二段落構成とすること。
1984年
(男子)一位・・・野球・ソフトボール、二位・・・サッカー、三位・・・ドッヂボール
(女子)一位・・・鬼ごっこ・かくれんぼ、二位・・・ドッヂボール、三位・・・ゴムとび
1994年
(男子)一位・・・サッカー、二位・・・テレビゲーム、三位・・・野球
(女子)一位・・・鬼ごっこ・かくれんぼ、二位・・・テレビゲーム、三位・・・本などを読む
<栃木県>
次の表は「国語に関する世論調査」の結果をもとに作成したものである。この表からあなたが気づいたことと、気づいたことに関する意見を書きなさい。字数は二百字から二百五十字までとする。
(調査項目)日常生活で、今以上に外来語や外国語が増えることについて。
(上段が十代、下段が全体)
いくらふえてもよい
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多少は増えてもよい
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今以上には増えないほうがよい
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減る方がよい
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分からない
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25.2%
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53.4%
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17.6%
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1.5%
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2.3%
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13.1%
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44.8%
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30.4%
|
6.6%
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5.0%
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<群馬県>
本の帯紙には、大勢の人に読んでもらうために、本の内容を紹介する文などが書かれています。本文(林英哲著『あしたの太鼓打ちへ』)を紹介するための文などを、帯紙に使えるように表現を工夫して書きなさい。
<大阪府>
春、夏、秋、冬の四つの季節のうち、あなたが最も好きな季節について、原稿用紙に三百字以内の文章を書きなさい。
2、近年の私立高校入試問題の出典一覧
学校名 |
課題1・出典 |
課題2・出典 |
課題3・出典 |
古典・出典 |
足利工業大付属 第1回 |
杉山平一『受け身 あいまい その力』 |
北杜夫の文章 |
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清少納言『枕草子』 |
市立銚子 |
田中克彦『名前と人間』 |
梅原猛『芭蕉はなぜ旅に出たか』 |
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『宇治拾遺物語』巻十五、第十一 |
茨城キリスト教学園 |
養老猛司『涼しい脳味噌』 |
森毅『まちがったっていいじゃないか』 |
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『古今著聞集』巻第十六 |
植草学園文化女子 |
日高敏隆『動物という文化』 |
立松和平『酪農家族』 |
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松尾芭蕉『おくのほそ道』 |
桜美林 |
森絵都『永遠の出口』 |
養老孟司『バカの壁』 |
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柏日体 |
高橋真理子『ジャーナリズムから見た科学・技術と社会』 |
外山滋比古『心と心をつなぐ話し方』 |
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兼好法師『徒然草』第五十一段 |
関東学園大(特待) |
齋藤孝『読書力』 |
吉村昭『大黒屋光太夫』 |
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兼好法師『徒然草』第百四十一段 |
北鎌倉女子学園 |
梅原猛『仕事は日本人の生きる歓び』 |
志賀直哉『小僧の神様』 |
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群馬県 |
齋藤孝『読書力』 |
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『孟子』 |
県立小金 |
南村隆夫『ヨーロッパ社会と国際マナー』 |
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国学院久我山 |
重松清『きよしこ』 |
木下順二『古典とのつきあいかた』 |
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国際学院(B推薦) |
大岡信『「忙即閑」でありたい』 |
伊集院静『夕空晴れて』 |
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兼好法師『徒然草』 |
国府台女子(一般) |
夏目房之介『漱石の孫』 |
火坂雅志『啼かぬなら』(日経新聞コラム) |
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浅井了意『浮世物語』 |
国府台女子(推薦) |
布施英利『鉄腕アトムは電気羊の夢を見るか』 |
芥川龍之介『戯作三昧』 |
|
|
駒込(一般) |
中島義道『ひとを〈嫌う〉ということ』 |
ねじめ正一『本日開店』 |
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埼玉栄(推薦B1) |
妹尾河童『河童が覗いたヨーロッパ』 |
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本居宣長『玉勝間』 |
埼玉栄(推薦B2) |
小浜逸郎『「弱者」とはだれか』 |
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|
橘成季『古今著問集』 |
相模女子大 |
井上靖『蜜柑畑』 |
齋藤孝『読書力』 |
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鴨長明『方丈記』 |
狭山ヶ丘(併願推薦) |
山崎正和『藝術・変身・遊戯』 |
寿岳章子『暮らしのことばと心』 |
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『古本説話集』 |
実践第一回 |
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菅原孝標女『更級日記』 |
実践第二回 |
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|
『今昔物語集』 |
秀明英光(推薦B) |
井上昌次郎『ヒトはなぜ眠るのか』 |
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兼好法師『徒然草』第九十二段 |
秀明英光(推薦BT特) |
外山滋比古『日本語の特性』 |
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淑徳与野(推薦) |
緒方貞子『私の仕事』 |
さとうともか『決して立ち入れない林』(朝日新聞) |
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箒木蓬生『国銅』 『伊勢物語』 |
湘南学院 |
青木玉『手持ちの時間』 |
河合隼雄『より道 わき道 散歩道』 |
皆川盤水『芭蕉と茂吉の山河』 |
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湘南学院2 |
青木玉『手持ちの時間』 |
島木健作『赤蛙』 |
|
|
昭和学院秀英 |
藤原智美『住まいから家族をみる』 |
重松清「海まで」(『小さき者へ』所収) |
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橘成季『古今著聞集』 |
成立学園(一般) |
加藤秀俊『日本人のコミュニケーション』 |
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兼好法師『徒然草』 |
大成女子 |
河合雅雄『少年動物誌』 |
灰谷健次郎『島へゆく』 |
宮沢賢治『春と修羅』 |
『宇治拾遺物語』 |
大東文化大第一 (推B) |
高橋和巳『隔絶の時代』 |
中島敦『弟子』 |
谷川俊太郎『魂のいちばんおいしいところ』 |
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拓殖大紅陵(特奨生) |
遠山正瑛『砂漠緑化に命をかけて』 |
角田光代『パーマネント・ピクニック』 |
|
安楽庵策伝『醒酔笑』 |
多摩大目黒 |
養老孟司『バカの壁』 |
三浦綾子『塩狩峠』 |
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|
中央学院 |
笹澤豊『自分の頭で考える倫理』 |
太宰治『トカトントン』 |
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松平定信『花月草紙』 |
中央大学 |
養老孟司『続・涼しい脳味噌』 |
太宰治『新釈諸国話』 |
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『今昔物語集』巻十九 |
東京家政大付属女子 |
加藤秀俊『暮しの思想』 |
ドナルド・キーン『古典を楽しむ 私の日本文学』 |
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東京成徳大深谷 (B推薦) |
小松和彦『妖怪学新考』 |
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『伊勢物語』 |
東京電機大 |
金田一春彦『日本語を反省してみませんか』 |
よしもとばなな『デッドエンドの思い出』 |
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桐光学園 |
佐伯啓思『新「帝国」アメリカを解剖する』 |
安岡章太郎『海辺の光景』 |
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宇治拾遺物語 |
東洋 |
妹尾河童『河童が覗いたヨーロッパ』 |
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|
|
常盤 |
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『宇治拾遺物語』 |
錦城学園 |
読売新聞2003年8月14日「論点」 |
重松清『セッちゃん』 |
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『一寸法師』 |
日大豊山女子(一般) |
河合隼雄『中空構造日本の深層』 |
伊集院静『ガラス越しの犬』 |
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『宇治拾遺物語』 |
富士見丘 横浜(一般) |
中野孝次『清貧の思想』 |
林真理子『本を読む女』 |
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文教大付属 |
松岡陽子マックレイン『英語・日本語コトバくらべ』 |
山崎豊子『白い巨塔』 |
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文星芸術大(一般) |
詫摩武俊『好きと嫌いの心理学』 |
赤松小百合『さよなら物語』 |
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『御伽草子』 |
文星芸術大(学特) |
中井正一『美学入門』 |
伊集院静『海峡』 |
|
橘成季『古今著聞集』 |
法政女子 |
『朝日新聞』吉岡洋の文章より |
黒川伊保子『恋するコンピュータ』 |
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|
豊南 |
国木田独歩『武蔵野』 |
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前橋育英 |
森本哲郎の文章 |
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『伊勢物語』 |
正智深谷 |
高樹のぶ子『光抱く友よ』 |
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清少納言『枕草子』 |
水城(後期) |
養老猛司『涼しい脳味噌』 |
堀辰雄『三つの挿話』 |
|
鴨長明『方丈記』巻六ノ八 |
水戸葵陵 |
井上俊『動詞人間学』 |
島木健作『赤蛙』 |
|
『宇治拾遺物語』 『十八史略』 |
明大中野八王子 |
加賀美幸子の文章 |
原田純の文章 |
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|
明和県央(一般) |
中村明『センスある日本語表現のために』 |
|
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兼好法師『徒然草』第十五段 |
明和県央(特待) |
山下秀雄『日本のことばとこころ』 |
|
|
兼好法師『徒然草』第七十四段 |
横須賀学院(T期) |
土居健郎『「甘え」の構造』 |
|
|
『杜子春』 『伊曾保物語』 |
横須賀学院(U期) |
辻邦生『言葉が輝くとき』 |
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|
鴨長明『発心集』 |
横浜隼人(1次) |
齋藤孝『読書力』 |
辻仁成『そこに僕はいた』 |
|
『宇治拾遺物語』 |
横浜隼人(2次) |
田中修『つぼみたちの生涯』 |
灰谷健次郎『海の物語』 |
|
『十訓抄』 |
3、近年の私立高校入試問題の出典一覧
学校名 |
課題1・出典 |
課題2・出典 |
課題3・出典 |
古典・出典 |
秋草学園(前期T) |
河合隼雄『より道 わき道 散歩道』 |
宮本輝『二十歳の火影』 |
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浦和学院 |
養老孟司『まともな人』 |
板坂元『考える技術・書く技術』 |
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兼好法師『徒然草』第三十二段 |
浦和実業学園 (前期第1回併願) |
樋口忠彦『日本の景観』 |
山尾三省『野の道』 |
|
|
浦和実業学園 (前期第2回併願) |
田川建三『人は何のために生きるか』 |
岸恵子『巴里の空はあかね雲』 |
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小野学園女子 |
斎藤孝『「できる人」はどこがちがうのか』 |
佐伯順子「私の樋口一葉」 |
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麹町学園女子 |
加藤秀俊『生活リズムの文化史』 |
鈴木孝夫『ことばと文化』 |
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紀貫之『土佐日記』 |
光明学園相模原 |
星新一『おせっかいな神々』 |
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『伊勢物語』九段 |
実践学園(第2回) |
|
|
|
『宇治拾遺物語』 |
十文字学園 |
長田弘『本という不思議』 |
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『宇治拾遺物語』 |
淑徳(推薦B2) |
小西行郎『早期教育と脳』 |
安野光雅『絵のある人生』 |
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淑徳巣鴨 |
瀬尾まいこ『図書館の神様』 |
野口恵子『かなり気がかりな日本語』 |
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『堤中納言物語』 |
潤徳女子(推薦B) |
井上靖『わが母の記』 |
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城西大川越 (前期第1回) |
曾野綾子『太郎物語−大学編−』 |
養老孟司『いちばん大事なこと』 |
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兼好法師『徒然草』第八十五段 |
城北 |
森本哲郎『日本語 表と裏』 |
なぎら健壱『歌い屋たち』 |
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昭和学院秀英 |
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|
『伊曽保物語』 |
聖学院 |
黒井千次『父たちの言い分』 |
開高健『裸の王様』 |
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|
西武台 |
草山こずえ『世界は私に触れる』 |
さくらももこ『もものかんづめ』 |
山田詠美『ぼくは勉強ができない』 |
兼好法師『徒然草』第七十三段 |
専修大付属 |
亀井勝一郎『大和古寺風物詩』 |
齋藤孝『読書力』 |
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大成女子 |
梨木香歩『りかさん』 |
伊藤海彦『草の実に想う』 |
丸山薫『未来へ』 |
『宇治拾遺物語』 |
大東文化大第一 (推B) |
池上嘉彦『記号論への招待』 |
井上ひさし『四十一番の少年』 |
茨木のり子『根府川の海』 |
|
土浦日大 (併願推薦) |
幸田文『季節のかたみ』 |
ねじめ正一『高円寺純情商店街』 |
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『伊曾保物語』 |
東京女子学園 |
森?外『高瀬舟』 |
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東京成徳大深谷 |
池上嘉彦『記号論への招待』 |
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兼好法師『徒然草』第六十八段 |
東京農大第一(進学) |
青木保『異文化理解』 |
渕上毛銭『渕上毛銭詩集』 |
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『今昔物語集』 |
東京農大第一(難関進学) |
佐倉統『現代思想としての環境問題 脳と遺伝子の共生』 |
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『沙石集』 |
東京立正 |
二宮清純『スポーツを「視る」技術』 |
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日大豊山 |
辻邦生『言葉の箱』 |
川上弘美『あるようなないような』 |
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白鴎大足利 (一般明記) |
高村光太郎「山」(『道程』所収) |
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『十訓抄』 |
白鴎大足利 (学業特待) |
河盛好蔵『人とつき合う法』 |
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『十訓抄』 |
文化女子大杉並 (第2回) |
古田嘉人『跳び跳びの足跡』 |
田中優子『樋口一葉「いやだ!」と云ふ』 |
森山卓郎『表現を味わうための日本語文法』 |
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文教大付属 |
星野道夫『イニュニック(生命)』 |
本川達雄『サンゴ礁の生物たち』 |
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法政女子 |
内田樹『子どもは判ってくれない』 |
岡部伊都子『二十七度線 沖縄に照らされて』 |
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正智深谷 (前期第2回) |
井上靖『しろばんば』 |
波多野誼余夫・稲垣佳世子『知的好奇心』 |
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正智深谷 (前期第1回) |
中沢けい『楽隊のうさぎ』 |
平田オリザ『演劇入門』 |
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兼好法師『徒然草』第三十八段 |
明星学園 |
内田義彦『読書と社会科学』 |
リービ英雄『越境の時代』 |
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横浜隼人(1次) |
百瀬昭次『君たちの人生』 |
小川洋子『偶然の祝福』 |
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『大鏡』 |
横浜隼人(2次) |
朝日新聞2003年12月 林寧彦の文章より |
山中恒『ぼくがぼくであること』 |
|
一寸法師『御伽草子集』 |
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